第7章 Happenin
ヒロイン視点
「よし祭りに行こう!!」
「「「「「は?」」」」
まるで何処かの旅行店のCMの台詞のような事を言いながらファミレスの中で結構な音量で、そう言い立ち上がった長友君に全員の言葉がハモった。
「長友お前声デカすぎッ」
「突然なに?」
「お前らノリが悪いなぁ!」
「あ、長友君、ココ間違えてる」
「あっマジで?じゃなくて!!祭だよ祭!!今日花火大会じゃん?女子誘って行こうぜ?」
「長友お前!!なんて名案をっ!!」
「大橋!!!」
「長友!!」
「いや、お前等うるせー」
席を立ち抱き合う長友君と大橋君を見て大野君は冷たくそう言うと皆で一緒に割り勘で頼んだポテトに手を伸ばした。
何やら長友君と大橋君に賛同して一緒に騒いでる友人達を見ると勉強もココまでだなぁと思う。
夏休み帳を皆でやろうぜなんて連絡が来た時から怪しいとは思っていた。
ファミレスでドリンクバーを注文して真剣に勉強してたのは最初40分位なものだ。
隣に座っていた大野君と目が合うと手にしていたポテトを『食う?』みたいな仕草をされて頷くとほいっと口元に差し出されてそのまま口に入れる。
最初は照れて出来なかった事も何度かやってれば慣れてくるものだ。
なんか気にした方が負けなんだと最近はよく思う。
昔からよく言うけど、女子の友情を男子が理解出来ないように、男子の友情も理解出来ない。
何処までが気持ち悪いと感じて、何処までがセーフなのかサッパリだ。
「そこ!!何まったりしてんだよ!?」
「なぁコレ全部食っていい?」
「聞けよ話!!後駄目だからッ!俺まだ一本しか食ってねぇから!」
そう言われて伸ばした手を引っ込めた大野君はダルそうにソファに座る。
「なぁ、勉強しねーならさ解散しようぜ?ばーちゃんの作ってた天ぷら食いに戻りてぇ」
「伊勢海老の天ぷらとか言ってたからね」
「お前等なぁ!もっと興味持てよ俺達の話に!!後、俺も食いてぇよ天ぷら!」
「興味ねぇし、天ぷらは駄目」
「大野酷くね!?後、決定権お前にあんの!?」
「ある!」
「言い切っちゃったよこの人!!」
一人なら寡黙なんだけど、この人は本当に大人数の所で良い感じになると思う。
別に暗い訳でもない、何も考えていないようで実はちゃんと考えて話してたりする。