第1章 皆でお祝い♪ ゼノ様バースデー!
「少し柔らか過ぎるな……そんなに動くと、うまく書けないのだが」
ゼノ様の爪が、花弁を軽く引っ掻く。
離れていったかと思うと、また、優しく引っ掻かれる―――。
「今度は濡れてきたな………文字が滲んで読めなくなった。もう一度、書いてほしいか?」
「あ………んっ、も、ダメ……」
絶え間ない刺激に、抗うべきなのか、身を任せるべきなのか………。
もう、判断がつけらない―――。
自然と涙が溢れてきて………そんな私の目元に、ゼノ様が口づける。
私を見つめる瞳は、どこまでも優しくて。
それが、嬉しくて。
幸せで―――。
「………ぁ、ゼノ、様。………愛して、ます………とっても、とっても―――」
とめどなくこぼれ落ちていく涙。
そして、溢れる想い―――。
「正解だ」
「え………ゼノ様?」
………正解?
何を言っているのか理解できず、私は首を傾げてしまう。
「ここに、そう書いた」
そう言うと、押しつぶすように、花弁を撫であげる。
「―――っ!」
「褒美をやらないとな。マイン、お前の欲しい物をやろう。何が望みだ?」
「ん………えっと………」
褒美って………望みって―――。
熱い眼差しで、しっかりと私を捉えている。
私の身体は、限界ではと思うほどに、火照っていき………。
「たくさんあり過ぎて迷うか?」
可笑しそうに笑みを堪えながら、尋ねるゼノ様。
―――っ、か、からかわれてる?
普段は見せない、ゼノ様のそんな表情に、ふっと身体の力が抜けていく。
「ゼノ様のおそばにいさせてください。これからも、ずっと………愛してます」
まっすぐにゼノ様を見つめ返し、そう告げる。
「マイン………愛してる」
耳元で甘く囁かれたかと思うと、性急に貫かれていた―――。
「………ん………ゼノ様、あ………あぁ、んっ!」
更に激しさを増す律動に、ゼノ様にはもう、余裕のカケラも残されてないと感じる。
………全身で、受け止めたい。
好き。こんなにも、好き。
ずっと、こうして、つながっていたい―――。
愛してる―――。
こうして、甘い、甘い誕生日の夜は更けていった………。
≪皆でお祝い♪ ゼノ様バースデー! 完≫