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ハル

第5章 花見


「あ!あそこ座ろう!」
花壇の石垣に腰掛ける。
手に持った飲み物で乾杯。
横でビールを美味しそうにゴクゴク飲んでる「桜すごく綺麗だね。」
「嗚呼、夜桜も綺麗だな。」
2人でぼんやり桜見上げる。ここまで来るとメインの花見スポットからはちょっと離れてるし、人もまばら。
このゆっくりした時間が久しぶり。
「ペース、早くない?もう缶が空いてるけど?」
「久しぶりだし、美味しい。」そう言いながら次の缶を開けて飲み始める。
「ずっと電話だったしね。生身の崇史がいるのがすごく嬉しい。まさか、幻?願望が具現化したお化け?」
「おう、お化けかもなぁ。ふらーーっと現れてふらっと消えるみたいな?」
「あっちはお化けでそうやん。心霊スポットいっぱいあるし。マジ怖いし。前、行った時、一人ぼっちで待たされて泣きそうだったもん。」
「あの時のお前の顔、あれ、、、。日頃は強気なくせに、俺にしがみついて離さ無いし、可笑しくて笑いこらえるの必死。お化けなんているわけ無いのに!」
「やっぱり、あん時笑ってたの!ひどい!!!あの時マジ怖かったのに。」
「あんな事くらいで泣くか〜。」
また、思い出し笑いしてる。腹たつわぁ。あんな真っ暗なところ1人で待たされたら、誰でも怖いわ!
そんな他愛も無い会話もすごく楽しい。電話じゃなくて、すぐ横に彼がいる。手を伸ばせば触ることもできる。嬉しくて、ドキドキする。

「あ、凄いな大きな紅い月が出てる。」
「どこどこ?」
「あっち!」
「見え無いけど、どこよ。あっち?何処?見えないよ。」振り返ってキョロキョロ探す。だけど見つからない。
私からは見えないのかな?
崇史が人懐こそうな顔でニコニコ笑いながら、私を見てる。
「もういいから、こっち向けって!」
彼の手が近づいてくる。そっとほっぺに添う手。
「あっ。」
最初は軽く。触れるだけのチュー。
次はしっかり融けそうなチュー。
抱きしめられてる。この感じ久しぶり。

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