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Dearest〜最愛の君へ〜

第12章 夜に咲く真実





電話越しに、少しノイズの混じったミオの声は、気のせいか震えていた。


「及川さん・・・あの、この間はすみませんでした」


"徹くん"と呼んでいたあの夜を思い出した・・・


「いや、うん・・・」

なんと返事をすればいいのか分からず、彼女の言葉を待つ。


「でも私・・・あの時に言ったこと、嘘じゃありません」


あの時・・・及川を好きだと言った言葉は嘘ではなく真実だった。


「私は及川さんが好きです」


もう一度言われるとは思わず、及川は胸が締め付けられるのを感じた。

しかし、及川は応えられない・・・


「ごめん、俺・・・・・・」



リオもミオもどちらともに好意のある自分、
そして死ぬ運命にある自分に・・・

彼女の想いに応えることはできなかった・・・
そう告げようとした時、スマホの向こう側で彼女は言った。


「これで最後にします」

「え・・・?」

「今度の土曜日に花火大会、ありますよね?一緒に行ってください。それで・・・最後にします」


最後・・・というのは、どういう意味だろうか。

自分を諦めること・・・?
もうあの日々には戻らないということなのだろうか・・・


「・・・・・・わかった」

「ありがとうございます。それじゃあ、おやすみなさい」

「おや、すみ・・・」


プツンと切れた電話。

久々に聞いたミオの声と言葉に、及川は呆然とする・・・

今度の花火大会が、最後・・・・・・


及川は、行こうか行くまいか・・・考えていた。


リオは、それを黙って見つめ、やがて夜の帳へ消えていった・・・・・・



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