第12章 夜に咲く真実
あの夜・・・ミオに強引に口付けてしまった日から、及川はいつもよりも早く家を出て、学校へ行った。
ミオと同じ電車に乗らないためだった。
学校でも、なるべく同期でいる時間を作ったり、ゼミの先生の研究室に篭っていた。
学校で彼女を見つける事はあっても、話すことはしなかった。
元々自分から彼女にちょっかいをかけにいっていたから、彼女から話しかけてくることは無い。
教えた携帯番号も、掛けてくることはなく、
LINEもあれ以来していない・・・
このまま、時間が流れて、彼女が自分を忘れてくれるように願った。
しかし、やはり彼女のいない生活は、つまらなかった。
いつも隣にいてくれた存在・・・
自分で遠くにやってしまったのに、彼女の目、鼻、口、温もり全てが、恋しいと思ってしまう。
好きになっては、いけなかったのに・・・
ーーー・・・
その日の夜、自室でぼうっと天井を仰いでいると、スマホが着信を知らせ、鳴った。
枕元に置いていたそれを取り、画面を見ると
《着信 ミオ》
ガバッと起き上がり、及川はその画面を見つめたまま固まった。
「出ないの・・・?」
隣から聞こえる、リオの声。
彼女の目は、真っ直ぐに及川を見据えている。
及川はリオとスマホを交互に見て、
そして意を決して、通話ボタンを押した・・・
「・・・もしもし?」
そう言って出た、すると・・・
「もしもし・・・こんばんは」
5日ぶりに聴く、ミオの控えめな声・・・ーーー