第10章 近づく距離
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「ミオがからかいやすいって?あ〜わかるよ、あの子の反応面白いもん!」
及川から貰ったスナック菓子を食べながら、リオは言った。
「昔、2人で遊んだ時、お人形さんの髪の毛切っちゃった〜って嘘言ったら、信じちゃってもう号泣っ。ママに怒られたなぁ〜」
あはは、と思い出して笑う。
「騙されやすいってばないのよ、ほんと可愛いもん」
ミオの話をする時のリオは、姉のような顔をする。
実際に双子の姉なのだが、本当に彼女を大切にしてきたのが口調や声音で分かる。
「気づいちゃったか〜徹くんも。ミオの可愛さに」
「まぁ、そうだね。からかってて飽きないよ」
つられて及川も笑う。
ミオはきっと今頃、クシャミをしている所だろう。
それ位、2人の間ではミオの話で持ちきりだった。
「でも、昔は体が弱かったんだよね。俺、リオに妹がいるの、知んなかったもん」
「そうだね、言ってたつもりでいたけど、言ってなかったんだよね。今はもう、バレーができるくらい元気だからな〜。ミオのバレーの試合、初めて見たら、泣けちゃったよ」
姉、兼母親のような眼差しで昔を振り返るリオ。
「もう体弱いって面影無いけどね」
「確かにそうだね。でもね、ずっと部屋にいた分、ちょっと人見知りする部分もあってね、自分から前に出るタイプじゃないんだ〜」
「あー、わかるかも。協調性大事にしてる感じがする」
「うん、自分からがつがつ気持ち話すことってあんまり無いと思うけどさ・・・」
リオは及川を指さしてウインクしてみせた。
「ミオのこと、よろしくね?」
「へ?」
意味ありげに微笑むリオ。
「さぁーて、私はそろそろドロンしよっかな」
「え、今日は一緒に寝ないの?」
「一緒に寝たことないし、今日は溜まってる書類の整理しなくちゃいけないの」
だから、また明日ね、と言い残し姿を消したリオ。