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Dearest〜最愛の君へ〜

第9章 姉の顔





「ミオはね・・・昔、私と違って体が弱かったの」

緩やかに揺れる電車の中、リオが口を開いた。

「だからいつも部屋の中にいて、布団の中で寝ていた」

「そうだったんだ。だから・・・」


自分はミオの存在を・・・知らなかったのか。


「私とよく遊んでくれた及川君のことを窓の向こうから眺めてたんだって。それでいつも言ってた」


未だに目を開けないミオ・・・


「"わたしも、はやくげんきになって、とおるくんとあそびたい"って・・・」

「俺と・・・?」

「うん、憧れてたんじゃないかな・・・徹くんに」


初めて聞くミオの話。

自分の知らない所で、そんな風に思ってくれていたことを知ると、じんわりと心が温まる。


「この子は不器用だけど・・・心を開くと、凄くいい子なんだよ」


一番わかっている・・・リオが、ミオのことを・・・。


きっと心配なんだろう、ひとりで生きている彼女が・・・


「やっぱりお姉ちゃんなんだねリオは」

「む。当たり前です〜」


そう言っておどけてみせる。

そうしているうちに、ミオが薄らと目を開いた。


「ぅ・・・・・・気持ち悪・・・」

「あ、目、覚めた?」

長いまつげが上がっていく。

「及川さん・・・っ?なんで、」

「女バレの子に、ミオの事送るよう、頼まれたんだよ」


隣に座る及川に、心底驚いた様子のミオ。
そんな彼女に残りの入った水のペットボトルを渡した。


「酒は薄めるに限るから、いっぱい飲みなよ」

「これ・・・それに、この上着も・・・?」

「あー、一応夜だし寒そうかなぁって」


さらりと答える及川と、彼に掛けてもらっていた上着や水などを交互に見ると、ミオは小さく

「ありがとうございます・・・」

と呟いた。

「ん。いいよ、吐き気とかない?」

「気持ち悪いですけど、吐くとかはないと思います」

「そっか、まぁ念のために、これもっときなよ」


と、先ほどのビニール袋を渡す。



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