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Dearest〜最愛の君へ〜

第9章 姉の顔





「はぁーい君たち〜?何してんのかな〜?」


いつもの調子で、若者の輪の中へ声をかける及川。


「及川さん?!」

女バレの少女が驚いて口を開く。

「あれ?潰れてんの、大丈夫?」

「はい、ミオってば、無茶して日本酒とか飲み出したから・・・」

近くで見るとより一層ぐったりしているし、体全体が真っ赤だった。

「今、この人が送ってくれるって話になってたんですけど・・・」

そう言ってちらりと先程立候補した、確実にミオを持ち帰る気漫々の、チャラい男を見る。

うん、どうやら、彼女もこの男に任せるのは不安らしい。


「じゃあ、俺送るよ。ミオと帰りの電車一緒だし」

え?と全員がきょとんとする。

「及川さん、ミオと家近いんですか?」

「帰る電車の線が一緒なんだ。ミオは終点で俺は途中の駅だけど、大丈夫、明日練習午後からだし、送るよ」


こんな奴に、大切な妹を預けられるかと

遠くで炎を燃やすリオを尻目に、及川はぐいっとミオの体を起こして軽々と背負った。


「まぁ、及川さんなら大丈夫ですね、よろしくお願いします」

ぺこっと頭を下げてくる。

さっきの男は、そっぽを向いている。
きっと獲物を横取りされて悔しがってる。


(お前が触れていい子じゃないんだよ、残念でした)

と、内心舌を出すも、及川はにこりと笑って、ミオを背負ったまま、その場を後にした・・・



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