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Dearest〜最愛の君へ〜

第20章 Dearest






ーーー・・・



"徹くん・・・!"


一人、先程と変わらず病室の前の長椅子に座っていた及川は、頭の中に直接響くような声に、顔を上げた。

これ・・・この声・・・



ズキッ


「うっ・・・!」


途端に、頭痛に襲われ、及川の意識は次第に途絶えていくーーー・・・







「あ・・・れ・・・?」


再び目を開けると、及川は不思議な光景を目の前にした。

自分が・・・見下ろして見える。

目の前の自分は先程、及川がそうしていたように、膝に腕をついている。

目を閉じていて、ピクリとも動かない。


(これ・・・もしかして・・・)


俗に言う、幽体離脱・・・?



死神なんかが現れるこの世界で、幽体離脱を受け入れられない訳無かった。

でも、どうしてこのタイミングで・・・



"徹くん・・・!"


「!」

まただ。さっきの声・・・


「リオ・・・っ?」


その声は、今度はここから聞こえる。
ミオの眠っている、病室から・・・


及川は迷わず扉のノブに手をかけて開いたーーー・・・






月明かりに照らされた静かな病室。

そこには、酸素マスクや点滴、心拍数をみるような様々な医療機器に囲まれて眠るミオの姿がある。

そしてそこに・・・



「リオ、ミオ!?」


荒い息を整える双子の姿があった。



「「徹くん・・・!」」



同時に、同じ容姿の2人が自身の名を呼ぶ。

あぁ、もう、聴けないと思っていた・・・その声で・・・



及川は駆け寄った。


「ミオ・・・っ!!」


そして、あの時自分が守れなかったミオを抱き寄せてその腕に閉じ込めた。



「わっ、と、徹くん!?」


当のミオは顔を真っ赤にして、あたふたとしている。



「ミオ・・・っ、良かった・・・!」

また会えて・・・

溢れるのは喜び。
もう離さないといわんばかりにきつく抱きしめると、苦しそうに身をよじるミオ。

その様子を暖かな目で見つめるリオ。



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