第18章 最期の時間
ーーー・・・
「ミオっ!!!」
揺れが収まり、及川は一目散に目の前のミオの元へ駆け寄る。
彼女の華奢な体に乗りかかった大きな照明をどける。
ガラスが割れ、所々に血が飛び散っている。
そして血と混ざって、ミオが付けていたブレスレットも糸が切れてオレンジ色のビーズがあちこちに散らばっている。
及川は、ぐったりとしているミオを抱き起こす。
(くそっ、頭打ってるよな・・・)
あまり大きく揺さぶらないように、声で呼びかける。
「ミオ!ミオ!!」
なんで、なんで、なんで・・・!!
"徹くん・・・"
さっきまで目の前で微笑んでくれていたミオが・・・!!
及川の声に、微かに、瞼を持ち上げるミオ。
「ミオ・・・!」
「と、おる・・・くん・・・?」
視線だけで、及川を見る。
「よかった・・・無事で・・・」
「良くないよ!ミオ、なんでこんな・・・っ」
俺のこと庇ったりしたの!
ミオの瞳は揺れて、今にも閉じそうだった。
「今救急車、呼ぶから!」
スマホを出そうとした及川の頬に、血のついたミオの手が触れる。
「徹、くん・・・」
ミオの瞳から、つ・・・と涙が零れる。
大好き・・・
大好きなあなたを死なせるわけにはいかなかった・・・
「ミオ・・・っ、・・・」
及川はミオの手を握る。
氷のように、冷たくなっていく・・・
「ミオ・・・っ、・・・ミオ・・・!!」
どうしてミオが・・・!!
自分が死ぬ筈だった、
けれどミオが命懸けで庇った・・・
「女はね、大切な人のためなら、何だってできるん、ですよ・・・」
あなたが死ぬと聞いて・・・
いてもたってもいられなかった・・・
気づいたら、体が動いていた・・・ーーー
「愛してます・・・徹くん・・・」
そうして、ミオの目は、閉じていったーーー・・・
「ミオーーーっっ!!!!!」