第15章 願えるなら僕は
ミオの事を本気で想ってるんだってわかったから、
俺は今、ここにいる・・・ーーー
「#NAME5・・・」
ミオの家の近くまで来た時、俺はミオを、後ろから抱き込めた。
「え・・・?」
体が強ばるミオ。
「あ、きら・・・くん?」
突然の事におどおどともがく幼なじみの耳元で、俺は言った。
「俺と、もう一度付き合おう・・・」
及川がいなくなって、ミオの心が、壊れないためにも、
(俺は、この選択をする・・・)
彼女の恋人になって、一番近くで支えてやろうと思った・・・
でも、
「・・・ごめんなさい」
暫くしてミオの口から零れたのは、そんな言葉だった。
ミオは自分を抱きしめる腕を優しく解き、俺を見上げた。
その眼差しは、俺じゃなくて・・・誰か、違う人を想い映している様だった。
「英くんが嫌って事じゃないの。だけどね、私・・・及川さんが好きなの」
「知ってるよ、だけどさ、ミオ「英くん」
俺の言葉を遮り、
真っ直ぐに、はっきりと告げる。
「及川さんがどんな運命だとしても・・・私、あの人の側にいたいの」
「え?」
例え運命が2人を引き裂くその時が来ても・・・
「及川さんの側に、最期まで、いたいの・・・」
涙が溢れる。
その涙を見て、俺は全てを悟った。
あの時、聞こえて、しまっていたんだと。
それでも、愛する人への想いは止められないってことか・・・
ミオが出した答えは、最期まで側にい続けることだった・・・
「馬鹿・・・」
もうほんと・・・
あんたたち、不器用すぎ
こんなに想い合ってるのに・・・
俺はポロポロと泣き始めるミオを黙って胸に引き寄せた。
「ふぇぇっ・・・」
子供のように泣きじゃくる幼なじみの頭を撫でてやる。
そうして俺は、夜空にぽっかりと浮かぶ月を見上げた。
「及川さん・・・」
死なないで下さいよ・・・