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妖狐の籠

第2章 烏


妖怪はとても長生きだ

だから『人』の世の変化を見てきている

俺は標準語を話していると思うし

これが至って普通だと思っている



「右烏や、こちらに来ておくれ」


綺麗な容姿

綺麗な顔立ち

『狐』の族の名は狐珀


「いつまでそんな喋り方なんだ」


「時の流れは早すぎて
我にはちと、わからぬ」


狐珀の喋り方は平安時代から変わっていない

俺ら妖怪は常にどこかの族が

リーダーの様な役割をしている

それを統(とう)と呼ぶ


今の統は『天狗』の族

統となった族は

権力を自分のものにし振りかざす

…という事は一切なくて

俺たち妖怪を護ってくれたり

『人』の世と妖怪の世の

繋がりを保持していたりする

統の言う事は絶対だが

別に嫌な事を言われるわけでもない



今は『天狗』様が統だが

平安時代は『狐』が統だった

恐らく狐珀は

自分の族が統だった時代が

とても居心地よく

その時を思い出すかのように

喋り方が平安時代のままなのだろう
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