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イケメン戦国 「めぐり逢い」

第15章 羊羹の依頼


「おう、元気そうだな。入ってもいいか?」

「はい、勿論です。
ここは秀吉様のお住まいで、私はお部屋をお借りしてる怪しい者ですから」

卑下するつもりはないが、つい卑屈な言い方になってしまった。

「…」

秀吉はそれについて何か言いたそうな表情をするが、まあ、それはいい、と別な事を口にした。

「御館様が遠征先から明日、戻られる予定だ」

「…織田、信長様、ですね」

「そうだ。そのうちおまえについても調べがあるかもしれん。
それを伝えにきた」

「わかりました。ありがとうございます。
調べたかったら存分に調べてください、と申し上げるだけです」

半ば嫌味のように、きっぱりと調べるならどうぞ、と伝える。

三成へのお遣いの時の、付き添いの女中の態度を思い返し、彼女は見張り役だったとはっきり気づいたのは、茶屋へ行ってみたいと言った時だった。

一人どころか、御殿全体で見張られていたのか、と気が付いた瞬間は肝が冷えたが、織田信長にとって敵である上杉謙信と同じ名字を持つのだから、それは仕方ないことかも知れない。

『上杉謙信とは全く関係ない家なんだけどなあ』

説明したところでこれ以上はわかってもらえないので、もう、黙っていることにした。
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