第66章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋②(宮侑、宮治)
トイレを口実にタオルだけ受け取って
その場を足早に去り部室に
飛び込むと
「トイレは?」
後ろから角名の声。
「あの子なんか可哀想だったけど?
せっかくタオル持って来たんだし
もっと愛想よくしたら?」
振り返ると呆れた顔の角名が
俺の髪の毛をグシャリと乱す
「そんな事言われても…
サクラを構うと侑が煩いやろ
それに…」
角名と話しながらカバンを探り
携帯のホームボタンを押して
ロックを開くけど…
LINEもなければ
着信もない
既読にすらなってない