第20章 近過ぎたキミ⑤(及川徹)⚠兄✕妹R18⚠
「そんな状態で何話すんだよ」
無理だろ?
さっきの笑顔が一瞬で
涙に変わってる
「…もしもし?
あんまり俺のオンナ苛めんなよ?」
電話の向こうに声を投げ掛けると
〈…姫凪の男は
及川だけど…?
引き裂いて楽しいッスか?〉
声を張り上げるでもない
だけどピリピリと張り詰める空気
それはとても静かな敵意
感情に任せて突っかかってくる奴なら
楽だったんだけどな
あんまり相手にしたくない
電話の向こうの相手に
「姫凪が何されたか
知ってて言ってるのか?」
俺もなるべく静かに敵意を向けた