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イチイ

第3章 第2章 媒体


 桃花は一方的にそれだけ言うと、機
械に数字を打ち込んで、中に入って行
ってしまう。
 
 唖然としていた昴は我に返ると、叫
んだ。
 
「送るよって言った意味ねえじゃん!」
 
 叫ぶも、もう誰もいないため、虚し
くなっただけだった。
 
 昴は肩を落として、数十分前の自分
に石を投げたいと思った。
 
 正しくは、 紳士な俺、かっこいい!
などど浮かれてた思考に対してだ。
 
 けれど、考えれば……考えなくとも
わかることだった。
 
 桃花だって戦闘部隊に所属している
のだ。非力ではないのだろう。
 
 零がいい例だ。小柄で華奢なのに、
パンチや蹴りは強かった。
 
「女性不信になりそうだ……」
 
 もしかしたら、魔法科に在籍する女
子は全員そんじゃそこらの輩よりは余
裕で強いんじゃないかと思った。
 
 それは、あまりにも怖いので、無理
やり非力な女子のほうが多いはずだと
最初の思考を消す。
 
「俺も帰るかな……」
 
 昴は歩道に出ると、マンションを見
上げた。
 
「あ」
 
 桃花と目が合う。
 
 思わず声が洩れた。
 
 10階、外廊下から顔を出して、昴
に手を振っている。
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