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イチイ

第8章 第7章 接触


 当初の目的は神様疑惑が本当か確か
めるだけだから、既に目的は達成して
いる。
 
 無理に声をかける必要性は皆無なの
だが、それは少し躊躇う。
 
 ネイロは立ち止まってその生徒を見
つめ続けた。
 
 白髪の生徒はネイロの視線に気づい
ているのか、いないのか、平然と歩い
てくる。
 
 ふたりの距離が数メートルになった
時、生徒が立ち止まった。
 
 ネイロは軽く眼を見張る。
 
 白髪の生徒は、感情の読めない眼で
ネイロを見た。
 
 ネイロはその視線に圧倒されて、思
わず後退りした。
 
 しかし、1歩動いただけで、身体が
動かなくなった。
 
 鼓動が速くなっている。声が喉に張
り付いているようだ。
 
 白髪の生徒は黙ってネイロを見てい
るだけだった。その視線に、感情はな
い。
 
 それだからこそネイロは気持ちの悪
さを感じていた。
 
 嫌な汗が額を伝う。今すぐ逃げ出し
たいのに足が動かない。
 
 何故か恐怖にも似た感情を覚えなが
らネイロは白髪の生徒から目を逸らせ
ない。
 
 逃げ出したい。けれど今視線をそれ
したら喉元を喰いちぎられる。
 
 矛盾してるようだが、そんな錯覚が
した。
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