第2章 賭けるのは《島左近》
『っと、やぁ左近!』
音もなく風もなく、俺の部屋に天井から入ってくるこの女
橙色の短い髪に、手足を大胆に露出した忍び装束
豊臣の忍、猿飛はるな
言わずもがな兄は武田の忍猿飛佐助だ
左近「今日もやりますか!」
『今日はなにを賭ける?』
俺らは博打の友だ
暇な時はいつもこいこいをやって何かしら賭けている
ある時は夕餉のおかず一品、ある時は戦の一番槍、ある時は城下町での甘味の奢りなどなど
これまで104戦54勝50敗で俺の勝ち
左近「今日は特別なものを賭けようぜ」
『なによ、特別なものって』
左近「それは____負けた方が勝った方の望んだものをあげるってことで!」
『はぁ?』
左近「イカサマはなしだぜ」
そう言って札を切り始める
『ちょっと!私まだ納得してないんだけど!ってまってまって待って!まだ切って!ちゃんと見れてない!』
左近「はぁ」
こいつはどうやら札を斬る時の俺の手つきが好きらしい
一度切り始めるとしばらーく解放してもらえない
爛々とした目で見てくる
ちくしょう可愛いな!
左近「なぁもういいだろー?」
『・・・・・・うん』
あからさまにションボリするなよ!
八枚づつ手札を配ったら場に八枚札を並べる
左近「お先どうぞ」
『負けても知らないからね』
手札から同じ花の柄の札を出して、山札から一枚引いて場に出す
その繰り返し
その中で役を作っていく
・
・
『よし!花見酒!こいこい!』
役が作られた時に"こいこい"を唱えれば勝負続行
"こいこい"を唱えなければそこで勝負は終了し、最後に役を作った方が勝ちとなる
より強い役を作ることが勝つ秘訣であり、醍醐味である
左近「青丹!こいこいだ!」
『はっはー!月見酒ー!こいこい!』
左近「かす一文!こりゃこいこいしかないっしょ!」
『猪鹿蝶!・・・うーん・・・・・・こいこい!』
そして
左近「三光!」
『あっ!うそ!?』
左近「こいこい」
『っしきた!』