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外科医・牛島若利

第4章 前夜


牛島に連れられてきたのは郊外にある小さな公園だった。
遠くに見える街の明かりがとても綺麗に見える。
夜風も心地よく久々のデートだ。

「羽音、明日のオペが終わったら話がある」

突然の牛島の話に驚いた表情を見せる羽音。

「今ではなくてですか?」
「あぁ、明日…木兎のオペが終わったらでいい」

いつになく真面目な顔をしている、先ほど車の中で見た表情とは全然違うと羽音は思い、神妙な顔をしてしまう。
コロコロと変わる羽音の表情に牛島は顔をほころばせた。

「心配しなくていい。悪い話ではない……」

少し歯切れの悪そうな、でも確実に真意のこもった声で羽音を諭し抱き寄せる。

「お前に言っていなかったが、大きなオペの前にはいつもここにくる」

遠くに見える光りたちを眺めながら牛島が教えてくれた。
羽音は、またドキッと心臓を跳ねさせる。
この場所は2人にとって特別な場所だったからだ。

牛島に告白されたこの場所。
初めてキスを交わしたこの場所。
大切な物事の前には2人でここに来ていた。
そして牛島は大切なオペの前には一人でここに来ていた。
色々な思いが羽音の中に駆け巡る。

明日のオペは牛島には無関係である。
私の為にここに連れてきてくれたのかと羽音はとても嬉しくなった。

「羽音」

優しく呼ばれた名前に牛島の顔を見上げればそっと塞がれる唇。
温かい感触が全身を包んだ。

安心して明日を迎えろと牛島に言われているようで羽音の気持ちが解されていく。

明日…。

頑張ろうと思います。

牛島にお礼にキスを送り、明日に響かないようにと早めに家に送ってもらった。
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