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【跡部】All′s fair in Love&War

第21章 おわりのはじまり(後編)





「…黙って聞いてたら、随分よねっ…突然相手のことをお前呼ばわりする奴は、礼儀を知ってるわけ!?助けてくれたのは有難う!あと、あたしの代わりに危ない目に合わせてごめんなさい!お礼とお詫びが遅くなったのも、大変失礼しましたっ!!」


語気を荒らげた千花ちゃんに、思わず驚き、動きが止まる。千花ちゃんは自分の感情に素直で、その一方で怒りや悲しみには凄く鈍感で。そんな彼女が感情を剥き出しにしている姿、今まで見たことがあっただろうか、と記憶を巡らせてみるも、覚えがない。

そしてその言葉を受けた跡部の口元がにやり、と弧を描くのを認め、また嫌な感じ、が走る。


「おい松元、入部届を書いて帰りな」


千花ちゃんはその言葉に酷く驚いた様子だったけれど、私にはその言動が予測できたし、理解出来た。こいつ、跡部は、どうやら私と嗜好が似ているらしい――また、跡部を睨みつける。跡部はこちらを一瞥すると、背を向けて去っていく。そして千花ちゃんは釘付けされたように、その背から目を離せずにいる。

――気に食わない。



「…ごめん、ビックリしたよな」


その声に、はっと我に返る。ジロちゃんが申し訳なさそうにこちらを見ている、その姿にすっと負の感情が解けていくような感覚。


「ううん、ビックリしたはしたけれど。確かに、私も不注意だったわ、ごめんね千花ちゃん、ジロちゃん」


千花ちゃんはまだふわふわと、視線をさ迷わせ。それから私の横にすとん、と腰を下ろした。そしてそのまま、跡部を見ている。その様子にギリ、と奥歯を噛み締める。

私が女で良かった、そうでないと立ち直れない。こんな、決定的な瞬間を見せつけられて――






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