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【跡部】All′s fair in Love&War

第21章 おわりのはじまり(後編)




また違う相手と打ち合いを始めた跡部を見ていたいらしいジロちゃんに付き合って、手近のベンチに腰をかける。


「あとべ、すっげーだろっ!?」
「そーだね、性格は良くなさそうだけど」
「あー、初めはそう思うかもー。でも、いい奴だからさっ」


ジロちゃんがそう言うなら、とまた打ち合いに視線を戻す。ジロちゃんが今の打球は、フォームは、と解説を入れてくれて、分からないなりに楽しく観戦していると。


「ねー、守河。後ろっ」
「…ん?あっ、千花ちゃあん」


漸く、待ち人来る、だ。果たして千花ちゃんは思い切り不服そうな、困惑したような、そして怖気付いたような表情を浮かべている。 その顔に苦笑しながら、マネージャーになるのだ、と告げると。困惑と少しの責めが混じった声で、美術部はどうするの、なんて聞いてくる。――元々入りたいわけじゃなかった、なんて言ったら怒るだろうから言わないけれど。

さて、千花ちゃんをどうやってその気にさせようか?そんな事を考え始めた、その時。


「おい、松元っっ!!!」


試合をしていた筈の、跡部の大声が響き渡る。千花ちゃんの名前を知っていたんだ、なんてぼんやり考えながら。彼女をイレギュラーした打球から庇うように、その身体の前に立ちはだかり、護るように手を上げるのを何も出来ないまま、見つめる。


「コートに入るなら、ボールに背を向けるんじゃねぇ!ジロー!お前がついていながら何してやがる!」



怒号を浴びせられる、千花ちゃんの表情はこちらからは伺えない。ジロちゃんがふるり、と震え、ごめんよあとべ、と小さく泣きそうな声を上げる物だから、避けようのない事態の理不尽さに跡部を睨みつける。


「ちょっと、ジロちゃんは関係ないですっ…あたしが不注意だっただけで、そこまで言う事無いでしょう!?」
「お前に非があることは確かだろうが、庇ってやった俺様に対してその物言いかよ、松元。ジロー、松元もマネージャー志望だと言っていたな。こんな無礼な奴に、格式ある我が氷帝テニス部のマネージャーが務まると思うかよ、アーン?」


そして、その言葉に思わず憤る。千花ちゃんの事を悪く言うなんて、そう思い、立ち上がろうとした瞬間。

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