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『イケメン戦国』〜生きる〜

第1章  〜プロローグ〜


なお目線

「いや!」

私は慌ててその手から逃れると、走り出す。

幕の外へ出た途端。

「おーっと。」

誰かに激しくぶつかってしまい。そのまま抱きとめられる。

「政宗か?そのままその女ここに連れてこい」

「御意」

『伊達正宗?』
私はそのまま横抱きに抱えられ、信長の元へ連れて行かれる。

「俺から逃げようとは、益々面白い。秀吉!正宗!此奴を連れて行く。」

そう告げると、信長は羽織を翻しその場を去る。

私は身体をよじり政宗の腕から逃れようとするが、その腕はビクともしない。

「逃げ損ねたな。諦めろ。」

政宗は私を抱えたまま馬へと歩く。
荷物を置く様に馬に私を乗せると、自らも乗馬し

「早駆けするぞ。掴まってろよ。」

言うが否や、凄いスピードで駆け出す。

その刹那、私は身体をよじり馬から降りようと試みる。

「おーっと。逃がさねーよ。」

何てことない様に政宗は私の身体を支え、抱きとめる。

「可愛い顔してんのに、なかなかやるなおまえ。信長様が嫌なら俺がもらってやるぜ。」

「政宗!御館様のお気に入りだ。言葉を慎め!」

「へいへい。秀吉は信長様の事となると……。まぁいい。逃がすつもりはないから、大人しくしてろ。」

そう言いながら、腰を抱える手に力を入れられる。

「痛っ。」

「何だ!そんなに強くした覚えないぞ!大丈夫か?」
そう言いながら手が緩んだ瞬間。
私は腕から逃げ出した。

早駆けの馬から降りる事。
それは危険な事だと分かってはいた。
本当に逃げられなくなるかもしれない。
でも、正気で男に触られる事の方が、私には苦痛だ。

耳元で

「ドーン!」

と音がして身体中に痛みが走ったけど。
それは一瞬で。
このまま。
終われたらしあわせ。
そう思いながら。
意識を手放した。





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