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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第29章 ep29 前進





すると先生は、これまたにんわりと笑ってりこを見ていた。




「そうかそうか!バレー続けてんのか!良かった、お前は根っからのバレー人やからな!」


バシバシと肩を叩く。その強さが、ホッとする。



「簡単に好きなもん捨てれるほど人間出来たもんちゃうんや。お前がちゃんと考えてそう行動してくれて、嬉しいわ」


嘘のない言葉。


彼だから頑張れた。彼だからついて行った。


大好きな恩師・・・彼にはいつかきちんと挨拶したいと思っていたから、この笑顔が見られて本当に良かった。






「間近でレベルの高いバレー見とったら、やりたなるやろ?」


「はい、でも、私はもう先生のところ以外で高校でバレーをする気には、やっぱりなれなかったです。・・・・・・今マネージャーとして、外から見てるとまた違うんですね、選手ひとりひとりの顔つきがすぐ分かります」



お前の気分もすーぐ分かっとったで〜(笑)という監督に、罰が悪そうに頭をかくりこ。



「だから私、進路は大学へ行こうと思っています。外から見ていて気づいたことを選手にアドバイスとして提供したり、教える事が好きなんだって最近気づきました」



マネージャーをやっていて抱き始めた夢。



人に教える・・・・・・教員になりたいという夢だ。

先生と同じ、教える側の舞台に立ちたい。





「人に教えるのは難しいけどな、心底楽しいって、お前なら思えると思う。俺の教え子やからな!」



何でもお見通し、と言うような口ぶり。


いや、本当に何でも透かして見られるのがこの人の凄い所だから・・・。




「バレーも、選手として、4年間頑張りたいと思っています。大学バレーは、また高校よりもパワーアップしていて、面白いです」




こないだのゴールデンウィーク合宿での大学生のプレーを思い出す。

今度の舞台では、夢を追いつつ、選手としてもバレーに携わりたい。




「そうかそうか、ストイックなお前ならがんばれるやろうな」


「はい!頑張りきるつもりです!」





それから話はそれ、ここでの思い出話、今のチーム、それからバレーに対する考え方を話尽くした。




アイスコーヒーの氷は溶けてなくなるまで。



りこの中の冷たい氷は、もう無かった・・・



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