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【イケメン王宮】氷の魔法にかけられて

第4章 *目覚めの時と暗闇*




馬車に乗り込もうとした時、アランと共に来ていた騎士達は、力なく俺に抱えられているユイを見て何も言えず、ただ立ち尽くしていた。
その中にいた見覚えのある騎士、アラン達を呼びに行ってくれた騎士に「助けを呼んでくれてありがとう」とだけ伝え、ウィスタリアへと向かう馬車を走らせた。


ガタンガタン……


いつもより速度が早いからか、大きく揺れ動く馬車の中で俺は今まで味わったことのない後悔に襲われていた。



きっと逃げ出したかったんだろう
痛かったんだろう
もし自分がユイの元を離れなければこんなことにはならなかった
俺が全部悪いんだ



そんなことを思っているうちにいつの間にか馬車は森をくぐり抜け、程なくしてウィスタリア城へと到着した。


「ルイ様…!」


ユイを抱え馬車を降りると、ジルとレオが駆け寄ってくる。


「ルイ…これは……」


レオは意識のないユイを見て、珍しく動揺している様子だった。


それはそうだろう。
ジルも、レオも、この城の皆は、国民は、ユイのことが大好きなんだ。
いつも一生懸命で、どんなに辛い事があっても笑っていユイが、今は言葉を発することさえ出来ない。こんな事になるなんて誰も思ってなかった。


「ユイは意識を失ってる。一度部屋へ連れて行ってから詳しい事情は話す」


「では医者を呼んでありますので直ぐに────


「ごめん…今のユイの体はたとえ医者だとしても見せる事は出来ない。致命傷になるような外傷はなかったから着替えさせてから毒を飲まされていないかだけ確認させる」


「ルイ様………」


分かっている。医者に見せた方がいいことくらい。でも流石にこの体は見せられない。ユイに意識があったなら絶対に嫌がる。


「………分かりました。では医者に体は見せません。ですがルイ様、貴方は大丈夫なのですか…?」


「俺は大丈夫。それと後からアランが連れてくる奴も意識を失っているから対応をお願い」


「承知しました。念の為貴方も医者に見てもらってください」


「分かった」


「では後ほどそちらに医者を行かせます」


「ありがとう。じゃあ俺はユイを部屋に運んでくるから」


俺はそれだけ言い残してユイの部屋へとむかった。


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