第4章 幸せな日常
私たちはしばらく走り回ったあと、座って花冠を作って遊んでいた。
『~♪~♪』
「姉さん、」
私がご機嫌に歌を歌っていると隣にいるイタチから話しかけられ、
『ん?なーに?』
と、笑顔で答えた。
「手、かして」
そう言うと、イタチは私に手を差し出した。その手にそっと自分の手をおくと、イタチは私の人差し指に花を巻き付けるようにして結んだ。
『...指輪?』
「うん..ほらお揃い」
イタチは左手に私と同じように結んでいて、それを見せてニコッっと笑った。
『...フフッ、そうだね、お揃いだ。』
私は微笑んで、勢い良くイタチに抱きついた。急なことで支えられなかったらしいイタチはうわっ、っと言いながら後ろに倒れこんだ。
「...びっくりした」
『痛かった?』
「痛くはなかったけど..」
私がイタチの上に乗っかったまま、そう聞くと困ったように笑いながらイタチは答えてくれた。
そんなイタチの肩に顔を埋めてギュッと抱き締めると、イタチも抱き締め返してくれた。
「姉さん、時々甘えてくるよね」
『?そーかな?』
「うん。こうやって意味もなく抱きついて来るときは甘えたいときだよ」
『イタチは時々違うけど、手を差し出したりジッっと見つめてくるときは甘えてくる前兆だよね。』
「...そうだっけ?」
『そうだよ。』
「...俺は甘えん坊だね。」
『うーん、私は嬉しいけどね。』
「姉さんは、あまり甘えたりしないから、甘えてきてくれたら俺も嬉しいよ」
『そう?じゃあもっと甘えようかな』
「うん、いつでも来てね。でも甘えるのは俺だけだからね?」
『うん。ありがとう』
イタチの声が少し固くなったので私は我慢できずに笑ってしまった。
あー、可愛いなー、うちの弟
「...いつまで上にいるの?」
『いつまでも...』
「動けない」
『動かないで』
「..何それ、」
イタチはそう言うと、フッと笑った。
『イタチ..大好き。』
「うん。俺も大好き。」