第10章 暗い月夜
「じゃあ...最後の質問だ」
そう言って、イタチは一度大きく息を吸い、吐き出し、私の目をじっと見つめて言った。
「姉さんは......どこまで知ってるんだ?」
その質問に、少し困ったように笑った。
何というべきか...
まあ、どこまで知っているかと聞かれれば..全て知っている。
それをイタチに言っていいものなのだろうか..
「言っておくが...俺も姉さんの嘘くらいすぐに見破れるからな」
つまり正直に言え..と、
『......全部、知ってる』
ため息をつきながら言った。
ここで何も知らないとか中途半端に知ってる、とか言っても、イタチは私の嘘に気づいてしまうと思った。
イタチの中でも、私が全部知っている、という可能性が大きかったんだと思う。だから、わざわざ聞いてきたのだ。
『知っててほしくなかったんだと思うけど...全部、知ってる』
「...そうか」
そう..シスイの死の真相も、裏で誰が手を回していたかも、イタチの想いも、考えも、全部..
『イタチは、これからどうするの?』
「俺は、“暁”という組織に入る」
『...ってことは、その組織は木ノ葉を危険に晒すかもしれない組織なのね?』
「...ああ、」
『そっか...』
「...姉さんはどうするんだ?」
『..私は、もっと力をつけるために、少し旅に出てみようと思うの』
「そうか..」
悲しそうに目を伏せるイタチ、
今までずっと一緒にいた弟と、しばらくは会えない。
『...イタチ、これ、持ってて』
「?」
イタチに手渡したのは、術式が刻まれているクナイ。
『...会いに行くから..』
「!、ああ...待ってる」
『うん...』
『またね』
「ああ、また、」