第10章 暗い月夜
私達が言う“あの場所”...それは、
昔、ミナトさん達に連れていってもらった場所だ。
『...最近、来れてなかったから..久しぶりだな』
もうすでに、やることはやっている。
万華鏡写輪眼で私自身のコピーを出し、それを死体としてうちはの集落に置いてきた。
これで、生きているとはバレないだろう。
私の万華鏡写輪眼での能力は消えてほしいと思うまで消えないから...
『...イタチ』
帰って来た弟に駆け寄る。
イタチは、私に倒れ込むように抱きつき、私の肩に顔を埋めた。
「いくつか、質問していいか」
『どうぞ?』
「...姉さんは、もし俺が刃を向けたら..どうするつもりだったんだ」
『...大人しく殺されるつもりだったよ..けど、それは100%ないと思ってたから』
「...どうして」
『...私が、イタチを殺せないから』
「!、...俺も、姉さんを殺せない」
『そういうこと』
「...この任務のことを誰から聞いたんだ」
『3代目』
「...ハァ、万華鏡写輪眼、開眼してるだろ」
『え?何でため息...まあ、うん..よくわかったね』
「双子だからな」
『ん?、うん...そっか』
何か違う気がする...
「どんな能力なんだ」
『...簡単に言えば、模倣と治癒』
それから万華鏡写輪眼の説明をシスイにしたようにイタチにもした。
何で言ってくれなかったんだと拗ねていたが、イタチも黙ってたでしょ、と言うと大人しくなった。
『...ちなみに、神皇産霊(カミムスヒノ)で自分の身体をコピーして“私が”死んだ風に見せかけたから、明日になれば私は死んだことになってるはずだよ』
「!...どうしてそんな事を」
『ダンゾウの思い通りにさせたくないから』
「.....」
死んだことになれば何かと動きやすいというのもあるが、一番の理由はそれだ。
険しい表情をしているイタチ。
『...私の事も、生かすようにダンゾウや3代目に頼んでたのね?』
「...ああ、」
やっぱり...