第5章 令嬢の大変な1日
「いつも、君の前ではかっこよく、いたかったのだけど、これだけは、素直に伝えるべきで……いや、でも勇気がないし、やめ」
「……うじうじしてないで、早く言いなさい」
私の一言で、ゼネスはもう一度、私をみた。
もう、夕暮れ時のせいなのか、ゼネスの顔が少し赤く染まってる
「私は……君に一目惚れをしてからというもの……君は王太子殿下に夢中で相手にされないと分かっていたから
君にはよく睨まれていたから、私を嫌いなことはわかるが。」
「あ、スミマセン。ちがうなのよ!?あれはね、そう、銀髪って珍しいわね、と思いながら」
ミアーーーー!!
何してんのーーー!!
「いや、いいんだ。でも、君は3ヶ月前に会ったときはとても優しくて、明るい少女になっていて、私は外見でなく、君の中身を本当に……す、す、好きになってしまった」
「……へ?」
「私は本当の意味で君をす、好……に」
と口をモゴモゴさせ、大切な部分がよく聞こえない。顔が真っ赤なのはよくわかるわ。
ヘタレ……ヘタレ系だったの、ゼネス
「私は君が好きだ……」
「っ……」
言い直された言葉と真剣表情に思わず、ドキッとしてしまった。
「私はもう四年間、君に会えないから……今日がチャンスだと思って、この気持ちを伝えに来たんだ」
「え、四年間も……会えないの?」
どういうこと…。
せっかく仲良くなれると思ったのに
「私は父の命で違う国で四年間、過ごさなくてはならなくて」
「そ、そう……」
「……返事は」
「ダメよ。断るわ。私、貴方と婚約者になるつもにもないし」
「そ、そう……だな」
ゼネスはショボンと肩を落とす
「では、私は君に似合うような素晴らしい男になって四年後、その首を縦に振ってくれるような、いい男になる」
「え?」
あれ、諦めてない!?
「私の気持ちはそれでも変わらない…!!君は私の運命の人だから…!!」
「……期待、しないで待っておくわ」
私とゼネスは笑いあった。最後だと思うと妙に寂しかった。
タルトはゼネス、ローレンお兄様とチェイス、メイフィスとミシェと六等分して食べた