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君の計算を狂わせたい【黒バス/花宮】

第13章 それはあまりにも突然で




突然膨れ上がったピンク色の煙は、あっという間にリビング中に広がっていく。

煙に埋もれて、まともに息が吸えない。

酸素……窓を開けよう。

かれこれ数年間生活している我が家であっても、目を開けないで窓までたどり着くのは容易じゃない。

手探りでやっと窓を開けると、強い風が吹き付けて、開けた窓の隙間から煙が流れ出ていく。


……家の中から風?

まだうっすらと煙が漂うリビングに目を向けると、そこにはこれまたポップな薄紫色の髪の男が立っていた。

まさか地毛だろうか。

背が高い。

花宮よりも高いかもしれない。


我が家であるはずなのに、どこか幻想的な光景に見とれていると、紫髪の男はきょろきょろと首を動かした。


「おっ、成功したっぽい?」


ふわりと紫髪が揺れる。

目元が隠れるほど前髪が長い。

もしかして瞳の色まで紫だったりするんだろうか。

だけど、そんな容姿に反して服装はいたってシンプルで、普通のTシャツに短パンだ。


「花宮は……っと、発見!」

「……原なのか?」


煙に咳き込んでいた花宮は、ゆっくりと顔を上げた。


「そう、原ちゃんがお迎えにきたよん」


どうやら二人は知り合いのようで、ほんのりとだけど花宮の顔に安心の色が浮かんだ。

お迎え……?

待っていたとはいえ、予想をはるかに上回る早さに驚きを隠せない。


花宮は紫髪の男……原くんにつかつかと近づくと、その頭を思いっきりグーで殴った。


「痛っ!!」


うわぁ、今のは痛い。

原くんの胸ぐらを掴んだ花宮からは、恐ろしくどす黒いオーラが漂っている。


「どういうことか説明しろ」

「いや~なんかぁ~異空間の扉開けちゃった、みたいな?」

「は?」


思いっきり殴られたにも関わらず、原くんはけろりとそんなことをのたまう。

それから、原くんは勝手にペラペラと説明をしだした。


「実は俺、家系的にいわゆる魔法ってゆーの? 使えるんだけど……あ、今の極秘情報ね? 探し物の呪文と間違えてなんか変なの唱えたみたいで、それに運悪く花宮はかかっちゃったってわけ」

「はぁ……」

「いやぁ~花宮が無事でよかったよ。さすがの俺も焦ったね」


実際にそんな非科学的なことを言われるとポカンとしてしまうけど……そういうことなのかなぁ。

そういうことにしよう。


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