第46章 【真面目】×【喧嘩】
「蒼依さんには私の気持ちなんて、分かるはずない!」
初めて彼氏と喧嘩した。なんて、喧嘩と言っていいのかわからないけれど。
我儘言っちゃいけないって頭では理解してる。でも。
「…はぁ…」
やってしまった、と後悔。
勢いで家に帰ってきてしまって、どうしたらいいかも分からない。
「謝らなきゃ…」
すぐに電話でもして謝ろう。と思ったのに、体が、手が言うことを聞かない。
迷惑だと、思われていたらどうしよう?許してもらえなかったら?
最悪の場合、別れを切り出されるかも―
そんなことばかり考えてしまって、電話のボタンが押せなかった。
「ふわぁ……ん…?朝…?」
気付けば暗かった外は明るくなっていた。手元では、携帯が震えている。
「電話?」
電話は、蒼依さんからだった。
嫌だ、出たくない。怖い。
眠気も一瞬にして飛んで行ってしまう。
思えば、告白したのも私のが先だった。
もしかしたら、蒼依さんは本当は私の事なんて好きじゃないのかもしれない。
考えれば考えるほど、ネガティブな事ばかり考えてしまう。
「…少し、出掛けようかな。」
気晴らしになれば良いなと思い、外へ出ることにした。
何度も着信を知らせる携帯の電源を消し、私は準備した。
今日は良い天気で、私とは反対だ。
いつも近くを通ると吠えるあの犬も、今日は静かだった。
「……あ。」
歩いていてやっと、お腹が空いている事に気が付く。
…そう言えば、何も食べずに家を出てきてしまった。
近くの喫茶店へと寄りサンドイッチを注文する。
周りを見渡せばカップルばかりで、デートしているのが羨ましく見えた。
「……」
こういう所でデートなんて、なんだかお洒落だ。
正直、蒼依さんと付き合い始めたものの、何も恋人らしいことをしていない。
昨日だって、初めてのデートだった。
なのに、蒼依さんは仕事の話ばかりだった。