第45章 【依存】×【別れた後】
「…て!!…ねぇ!」
誰かの呼ぶ声が聞こえる。
大好きな声が。
「…雨衣?」
目を開けると、そこに居るのは会いたかった人。
一瞬にして眠気も吹っ飛んで、俺は体を起こした。
「空…良かった…。」
安心したような顔で、俺を見る。
「泣いてるの?なんで、」
「何でじゃない!…泣いてないから!…大丈夫なら、急いで来た意味なかったじゃん…」
ゴシゴシと目を擦る。嘘だ。目が赤くなってる。それにしても…
「…走って来てくれたんだ。嬉しいな。」
「嬉しいなじゃなくて!このメール、なんなの?」
そう言って見せられたのは、俺がさっき送ったメール。
…そうか、見てくれていたんだ。メールを見て急いでくれたのが嬉しくて、頬が緩む。
「とにかく…無事ならもう帰るよ。…合鍵も、今日は偶々必要だったけどもう使わないから。」
隣に鍵を置いて立ち上がる。
折角会えたのに、今度こそ本当にお別れなんて嫌だ。
「待って、」
手首を掴むと、驚いた顔をして振り向く。
「俺、別れたくない。メールで書いたことだって嘘じゃない。雨衣が居ないと…俺は何も出来ないから。このまま会えないなんて耐えられない…。…だから、お願い。ずっと俺の傍に居て…?」
俺が言う度、雨衣は悲しそうな顔をした。
「それじゃ、ダメなの。…ごめん、」
そう言う雨衣は、また泣き出しそうで。
どうして謝るのか、どうしてそんなに泣きそうなのか。俺にはその理由は分からなかった。
「…私、本当に帰るから。離して、」
顔を逸らされて、冷たい、鋭い声がした。俺は、掴んだ手首を離すしかなくて。
そして、静かな空間に扉が開いてから閉まる音が響く。
「なんで。俺の隣に居てよ……。」
ポツリとこぼした言葉は、もう、届かない。