第42章 【先生】×【生徒】
「失礼します。」
期待半分、不安半分で扉を開ける。
そこに、探していたその人は居た。
「先生。」
呼ぶと、振り向いて小さく微笑む。
教えて貰っていた時、いつも座ってた席に座る。
久しぶりに座って周りを見渡す。そして改めて、先生を見た。
「先生、探したんですよ?」
「あー…悪い。でも、市倉なら分かるかと思ったんだよ。」
「私が会いに来ること、分かってたんですか?」
「…分かるよ。大事な生徒の事だもんな、」
大事な生徒。嬉しいような、嬉しくないような。複雑だ。
「こうやってちゃんと話すのは、久しぶりですね。」
「…ああ、そうだな。」
「…私、先生にお礼を言いたくて。」
これで最後だから。
立ち上がって、先生の前に立つ。
「沢山勉強教えてくれて、ありがとうございました。
…それと、色々言って先生を困らせて、ごめんなさい。」
「蒼依先生が、大好きでした。」
これで最後だと思うと、涙が出てきた。
結局、私は先生の事を諦め切れていなかったのかも知れない。
「本当に本当に、ありがとうございました。」
深く頭を下げる。涙が床に落ちていく。
「雨衣。」
「…え、」
聞き間違いだろうか。…いや、聞き間違いじゃない。
確かに、先生が私の名前を呼んだ。驚いて涙も引っ込む。
「顔、上げろ。」
言われて顔を上げると先生は私に近付いて、
「…!?」
優しい口付けをした。
「…卒業、おめでとう。」
驚く私に、悪戯っぽく笑う先生。
きっと私は、この先もこの人からは卒業出来ないだろう。