第4章 【先輩】×【失恋】
「俺しか居ないから。」
先輩の言葉に、私は涙が止まらなかった。
「ありがとうございます…空先輩。」
どうして、私はこんなに空先輩が気になっているのだろう。
さっきまで、あの人の事ばかりだったのに。
今じゃ、空先輩の事ばかり。
私は惚れっぽい私が大嫌いだ。
このままじゃそのうち空先輩も…
ふと、そんな嫌な思いが頭に浮かぶ。
「俺は君を嫌いになんてならないよ。」
「だから…」
私の心を読み取ったかのような先輩が
小声で言ったその後の言葉は聞こえなかった。
「え?」
「何でもないよ。」
へへ、と照れて笑う先輩に、私は言う。
「先輩、いつもと違う。いつもは先輩っぽくないけど…」
「今日は格好いいです。」
すこし、照れるけどこれは本音だ。
「えっ、俺いつも先輩っぽくない!?」
「でも…嬉しいな。雨衣ちゃんにそう言って貰えて。」
先輩はまた、照れる。
今日は色々あったけど、
先輩のおかげで真っ暗だった私の心が、どんどん晴れて行った気がする。
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「それより…空先輩の好きな人って…」
「待って!それより先は言わないで!今度改めて言うつもりだから。」
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