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とらいあんどえらー

第1章 咲side


女の子が好きだ。と思ったのは中学3年生の時で、
自分の性別と、恋愛対象にする性別が一致しないことに気づいたのもこの時で、
好みの女の子が、お人形さんみたいに可愛らしい女の子だ、ってことに気づいたのは高校1年生の時で、  
高身長やハスキーボイスを生かせば女の子がかっこいい、って僕のことを好きになってくれることに気づいたのは高校3年生の時で、
たくさん女の子に好きになってもらって、かっこいい、ってアイドルみたいな存在になれたのが大学1年生の夏で、
みつはに出会ったのは、その半年後の春だった。   
 
藪下咲。それが、僕の名前。読み方はやぶしたさく。正直、男でも女でもどっちでもいい名前。
母さんは僕がこうなることをわかっていてこんな名前にしたのか、それともこんな名前だからこんな風になってしまったのか。もう、どうでもいい話だが。
女の子に好かれたい、の一心で中性的なビジュアルを追い求めてきた。
女の子なのに見た目が男の子、っていう設定より、中性的なビジュアルの方が女の子の受けがいいんだ。
それに、ハスキーボイスが付くともうみんな僕のことを好きになってくれる。     
僕は、今の生活にすごく満足してる。
女の子ってすごくやわらかいんだ。それで、すごくいい匂いがして、ふわふわしてて、ぼくは、女の子が大好きなんだ。 

「咲ちゃん!」
女の子の声がする。僕の名前を、呼んだ。同じクラスのよっちゃんだった。
なあに、ってにっこり笑ってやると、よっちゃんも嬉しそうににっこり笑って、ぽーっと僕の顔を見つめた。
「咲ちゃんてほんと顔が綺麗やね、咲ちゃんみたいな彼氏やったらなぁ」って。
これが僕にとって最高の誉め言葉。 
きっと僕が男の子だったら恥ずかしがってこんなこと、言ってもらえない。
ビジュアルは中性的で、でも女の子の僕だけの、特権。
ありがとう、ってハスキーボイスで返すと、よっちゃんはまたにっこり可愛らしい笑顔を見せた。
僕が男の子だったら、こんなに可愛い笑顔は見せてくれないだろう。
中身は男の子だけど、みんなに女の子の扱いをされれるだけで、女の子達のこんなに可愛い素の姿が見れるなら、自分の性別を表に出せなくてもいいって、思うんだ。 
 
          
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