第23章 おべんきょ【手塚】
今日は部活がない、そこで俺は彼女のせいなに
日本史を教えてくれと頼まれ図書室で勉強している
せいなは日本史がどんな教科よりも苦手だ、ほかの教科は人並みに出来るのだがな
『くにみつー!この戦いって誰と誰が戦ったのー?』
プリントを指差し俺を見ながらせいなはそう聞く
「ん、あぁ。そこはな…」
一つ一つ丁寧に説明をしてやる
せいなは比較的真面目なほうだ、何事も熱心に取り組む。だから教え甲斐がある
せいなは真剣に俺の話を聞きながらノートにメモをしている
『やっぱ相変わらずわかりやすいよ!』
メモをとり終えるとせいなはそう言った
それは何気に嬉しかった
「そうか?至って普通に教えている。だがせいなは説明をすれば真剣に聞いて覚えようとする、だから俺も教え甲斐がある」
少し微笑みながら言ってやるとせいなも微笑み返した
だがそれもつかの間
『くにみつ…!これどうしても覚えられないよ…』
せいなの辛そうな声が聞こえた
「うむ、何度も説明したがここは苦手なようだな」
『うん…ごめんね。教えてもらってるのに』
「いや、構わない。そういう時は覚え方を変えるんだ」
この俺の一言にせいなはきょとんとした
「簡単に言うとだな、俺の説明は授業の内容で重要なところだけを要約して教えていた。だがこれで覚えられないのなら何か別のものと関連付けて覚えるんだ」
例えば?なんて言いたげな顔をしてるせいなに続けて俺は話を続ける
「例えば、真田幸村なんかないい例だろう。立海には真田と幸村がいるだろう?他にも越前や遠山なんかもそうだ」
『おおー!確かに!』
目をキラキラと輝かせている
「別に人だけじゃなくてもいいんだがな物とか名物とかでも」
『そーなんだ!私これなら覚えられる!』
「ん、そうか。なら良かった」
これでせいなが勉強に励めるのであれば覚え方を教えて良かった
せいなから視線をはずし窓を見ながらそんな事を考えていたらせいなが あ!なんて声を出した
「なんだ?」
『いやそのね。この覚え方で覚えられると思うんだけど今日みたいにくにみつに勉強教えほしい…』
なんだ、そんな可愛いおねだりか
「当たり前だ。ずっと教えてやってもいいぞ」
俺は一言そう残した
【完】