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テニプリ 短編

第22章 ねぇ【越前】


「ねぇ」
……、返事がない

「ねぇ、呼んでるんだけど?」
…返事がない
何故か最近せいなはどこか上の空だ

「ねぇ、いい加減にしてくんない?俺怒るよ?」
3回目、俺がそう言うと一言 ごめん、とだけ返した

「最近せいなおかしくない?」
一つ、せいなに質問した
何回も俺の呼び掛けに応じないなんてそろそろ怒りたくなってくるし…

『え、おかしくなんてないよー』
ほらまた、少しボーッとしながら応えてる
「嘘つき。俺、せいなの事ならなんでも分かるんだけど」

ギクッ
そんな効果音が今お似合いになったせいなの表情

『ま、またまた!嘘なんて良くないよっ』
顔が焦ってる、額からは冷や汗も出てる

嘘をついていたのは当たりだった、って訳ね

なんでも分かる、そんな嘘を俺はせいなに言ったが
それが当たったらこの際、俺がついた嘘なんてどうでもいいよね?

「嘘?そんなわけないじゃん。俺、これでも彼氏なんだけど」
少しムスっとした表情でせいなに返してやると

一人であたふたしている
俺が呼んでるのにボーッとしてた罰だ、なんて器の小ささが分かる事をボソッと俺は零す

『えっと…えっと…ごめんね…?その、最近ボーッとしてるのは疲れちゃってて…』

俯いて申し訳なさそうにせいなにそう言われちゃさっきまでのムスっとした表情から一瞬で口元が緩む

あ、何これ可愛すぎでしょ…!

「ふーん、そうなんだ。」

表情と裏腹に冷たく返すとせいなはまた

『ごめん』と、言った

「疲れてボーッとしちゃうなんてまだまだだね。おいで、俺が癒してあげる」

俺が手を広げてせいなに言うと

俯いていた顔を上げ嬉しそうに俺の方へ来た

そして俺はせいなを優しく抱きしめる。

疲れるほど無理しなくてもいいのに…


おまけ↓

15分くらいすると俺の腕の中から心地よい寝息が聞こえてきた

「なに、もう寝ちゃうの?」

寝ているせいなにそう囁きながら頭を撫でる

寝ているのにも関わらずせいなは嬉しそうな顔をした
そんなせいなを見て俺は

おやすみ、と一言呟き俺も夢の中へ意識を手放した



【完】
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