第13章 告白シリーズ【財前】
俺は産まれて初めて無い物ねだりをしてしもうた…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時は3月中旬
校舎の窓からは毎日桜が綺麗に舞っとる
毎日桜を見るたび思う、
咲かないでくれと
なんでかっちゅうとせいなが卒業してまうからや
俺は一つ上の先輩のせいなに恋をした
なんで好きになったんかは俺にもわからん
でもいつでもせいなの隣に居たいと思える
ぼーっとしながら5時間目の授業
咲いてほしくなかった桜を横目で見ながら
んな、事を考えてまう
そうしてると授業終了のチャイムが鳴り響く
俺は号令が終わった瞬間にせいなの教室に行くことを決めとった
うだうだしてたらホンマに知らんうちにせいなが卒業してまう
それは流石に不完全燃焼すぎるっちゅーねん
号令が終わり俺は走ってせいなの教室まで行き
せいなの手を取って軽く走って中庭に来た
せいなはキョトンと不思議そうな顔しとる
そりゃ何も言わんで後輩に手を取られて中庭に連れてこられたらそーなるんはわかる
でも今の俺はそんな事を無視した
早くこの思いを伝えなあかん
そうこの高鳴る鼓動が言うとるんや
桜が舞い終わる前に…!
「な、なぁ。俺今からめっちゃ大事な話するんや、ちゃんと聞いてくれるか?聞いてくれへんかったら怒るんやけど…」
『え、うん。ええよー。改まってどしたん?なんk…』
俺はせいなが何か言い終わる前に口を開いた
「俺は知らんうちにせいなの事が… せいなの事が…好きになってん…卒業する前に返事だけでも聞かせてくれへんか…」
俺が珍しく弱気になってしもうた…
これやかっこ悪いやん…
俺は俯いてせいなに向かって手を差し出す
どうかこの手を握ってくれや…!
『光、実はな私も光のことが好きなんやで…』
そう言いながらせいなは俺の手を握ってくれた
嬉しくて嬉しくてしゃーない
でも神に柄でもないんやけど一つだけ願いたい事があんねん
ほんまはせいなと同級生がええかったって
咲いてほしくなかった桜はさっきより綺麗に見えとった
咲いてほしくなかった桜を見ながら
俺らは恋人として
過ごせるんや
【完】