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【おそ松さん】水底に沈んだ

第2章 幸せな苦【3】


彼、松野チョロ松がその事に気付いたのは夏の頃である。
その事、とは彼と仲の良かったある少女の事だ。
彼女、朝霧は明るく、元気な立ち振る舞いで、いつも周囲と馴染んでいた。
クラスの中心的人物と言っても過言ではない。
だが、彼女はいつもどこかに怪我を負っていた。
軽いものから重いものまで、いつも身体に傷をつけていた。
わけを聞いても、

「転んじゃっただけだよ。ほら、私ドジだからさぁ」

と笑顔で答える。
チョロ松はその笑顔に何か違和感を感じながらも、それ以上は追求しなかった。
何かある、と感じつつも踏み込めない。
チョロ松は勇気の無い自分に苛付を感じ始めていた。
が、そんな彼にも好機が訪れた。

――ミーンミンミン……

蝉の声が随分と大きく聞こえるようになっていた。
そう、夏である。
夏になれば制服が、冬服から夏服へ衣替えすることになる。
彼女が隠している何かも、少しは分かるのではないか。
チョロ松はそう思っていた。
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