第5章 放したくないって思ったら、自然と身体が動いてた
「笠松、行かなくていいのか?」
「は?何でだよ。」
「黄瀬は行ったぞ。」
「は?」
浅倉とその彼氏の元に参入している黄瀬を見て驚いた。何してんだアイツ。いや、そもそも黄瀬は浅倉と同じクラスで(自称)仲がいいらしいし、もしかしたら浅倉の彼氏も黄瀬と浅倉と同じクラスで仲がいいのかもしんねーし…なんて考えているだけのつもりだったのに、何故か俺は席を立ち上がり、気が付けば三人の元へ足が動いてた。
「笠松、ネットで調べたが、〝恋は奪うもの〟らしいぞ。」
森山がそう言ったのが、微かに耳に聞こえた気がした。