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【ヒロアカ】世も縋ら

第3章 命令




『…まさか


私を待っててくれたの……?』


「ッ!!」


少し期待をする様な言い方になってしまったが
もしそうなら……


「んなわけねえだろ!!!アホか!!!」


だよねー


うん
こんな優しさのカケラも無いような男に
そんなことを期待した自分は
本当に阿呆だと思う



しかし


この時、彼の耳が
少しだけ赤くなっていたことを

私は知るよしもなかった




あの後、散々暴言を吐かれ
なぜか一緒に帰路につく事となり

何も話すことのないまま
彼の斜め後ろに
ひたすら小走りでついて行くこととなった


『ねぇ、もう少し女の子に気を遣ってよ』

速いんだけど


そう意見するが


「てめえが勝手について来てるだけだろが!」

なんで俺がお前に合わせなきゃならねえんだよ


出たよ自己中


『あんたが「帰るぞ」って言うから!そう言う意味だと思うじゃん!!』


「勝手に解釈すんな!!」


ムカつきを通り越して
なんか惨めになってきた


『…なんで同じ方向なのよ……』


そう、別に一緒に帰りたかないけど
なぜか帰路は全く同じ方向で
一緒に帰らざるを得なかった


ふいと顔を逸らし文句を零す


その時
足下が不注意だったため
道の窪みに気付かず
見事に足を引っ掛けてしまった

『ーっ!』

あ、だめだ

倒れると認識し目を瞑るが
一向に想像した痛みは襲って来ない

寧ろあたたかい
どこか安心する何か……

恐る恐る目を開けると
そこには


「てめえは……」


その後の言葉はきっと
さっきまでの様な暴言ではないんだろうなと
そう思わせるような


凄く優しい目をしていた


『……やっぱりあんたって、ヒーロー志望なんだね』



ありがとうと
笑ってみれば

さっきまでの苛立ちなんか

もうどこにもなかった




そして

この光景を

心操くんが見ていたなんて
私は気づきもしなかった




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