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愛される少女【HP】

第77章 移動キーと水汲み


「そこで、人里離れた格好な荒地を探し出し、できるかぎりのマグル避け対策を講じなければならなかった。魔法省をあげて、何ヶ月もこれに取り組んできたんだ。まずは、当然のことだが、到着時間を少しずつずらした。安いチケットを手にした者は、2週間前に着いていないといけない。マグルの交通機関を使う魔法使いも少しは居るが、バスや列車にあんまり大勢詰め込むわけにもいかない...なにしろ、世界中から魔法使いがやって来るのだから」

アーサーさんはさらに、姿現しをする人達は、マグルの目に触れない安全な場所である手頃な森を姿現わし地点に使っていること。姿現しをしたくない者、または出来ない者は、'移動キー'を使うこと。移動キーとは、あらかじめ指定された時間に、魔法使いたちをある地点から別の地点に移動させるために使う'鍵'らしい。

そして、ウィーズリー家に一番近い場所が、ストーツヘッド・ヒルの天辺にあるからそこに向かっていると言った。アーサーさんは、行く手を指差す。オッタリー・セント・キャッチポールの村の彼方に、大きな黒々とした丘が盛り上がっていた。

「移動キーって、どんなものなんですか?」

興味を持ったらしいハリーが問う。

「そうだな。なんでもありだよ。当然、目立たないものだ。マグルが拾って、もてあそんだりしないように...マグルがガラクタだと思うようなものだ...」

一行は、村に向かって暗い湿っぽい小道をただひたすら歩いた。静けさを破るのは、自分たちの足音だけだ。村を通り抜けるころ、ゆっくりと空が白みはじめた。墨を流したような夜空が薄れ、深みがかった青色に変わる。

『ふぅ...はぁ』

既に息切れしている私のところへ、フレッドとジョージがやってきた。

「荷物、持つぜ。貸せよ」

『大丈夫よ、フレッド』

「ほら、ユウミ。手を出して。俺が引っ張るよ」

あれよあれよという間に、荷物はフレッドが持ってくれて、ジョージに手を握って引っ張られる。私が困った顔をしていると、フレッドがニヤっとして言った。

「これが嫌なら、俺がお姫様抱っこするぜ?どうする?」

『もう!ありがとう、フレッド、ジョージ』

笑みを浮かべてお礼を言うと、二人は満足そうに笑う。ストーツヘッド・ヒルを登りはじめると、息切れがさらに酷くなったが、ジョージに加えてフレッドも引っ張ってくれるようになった。

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