第1章 吹雪
明「吹雪ってさーー」
吹雪「はい?」
2200。新任したばかりである俺は提督という役職に着いたにも関わらず、秘書艦である吹雪と共に鎮守府外周の戸締りをチェックして回っている。
これ、普通は一兵卒の仕事だよな?
そう思いながら夏にも関わらず海辺の近くの影響か、肌寒い風を受けながら真面目に外周巡回をこなしている。
隣で一緒に歩く吹雪は特に寒そうな様子はない。
俺より薄いのに。
あ、着衣がな。影じゃない。
明「吹雪って一番艦なんだよな」
吹雪「そうですよ。もっと言うなら特型駆逐艦のベースなんです!」
着任して5日目、秘書艦という大任からの緊張からか最初は固かった。何隻か建造して、しれっと軽巡の天龍もいるけどこの子が今だに秘書艦なのはその直向きさと初々しさだ。
何か良い。
そして、彼女はとても素直だ。
褒めると素直に笑顔で喜ぶ。
お母さん。俺、この仕事選んで正解でした。