第12章 惑わせ
石切丸「こんばんは、主」
私はぶつかってしまった人に謝ろうとして固まった。
いや、心臓止まるかと思ったわ!そして、忘れていた!
私の身体を人様に見せられなくした張本人。
危機感というものを思いだしすぐさま背を向けて逃げ出そうとしたが……
石切丸「おっと、どこに行くんだい主?」
「ね、猫とか警戒心の高い動物は自分にとって危険と感じた者を前にすると逃げ出すものなのです!」
石切丸「主は猫よりも……うさぎって感じがするよ」
逃げようとした私を背後から抱き締め逃がさないようにする危険人物。
石切丸さんのことをよく知りはしないが、初めて見たときは包容力のある素敵な大人って感じがしていたのに……
「っ……あ、あのときは流されましたけど今度はそういきませんよ!このっ……変態!」
石切丸「警戒されてしまったかな?」
「あ、あんなことされたら誰だって警戒をっ……」
また、だ。
この人の目を見ると心がざわつく。
藤色の綺麗な、瞳。
石切丸「悪かったと思っているよ。あのときはどうかしていた……」
「え……あ、いえ……あのときは助けていただいたわけですし感謝はしてます」
解放してもらうと申し訳なさそうにする石切丸さんに私はなにも言えなくなってしまう。
三日月さんと小狐丸さんにいろいろされていたところを助けてもらった訳なんだし、感謝はしている。
まあ、あとから助けてくれたとするこの人に同じようなことをされたわけですけど