第5章 食戟
えりなside
未だ止まない歓声。私の勝利を讃える声。
「えりな様!お疲れ様でした!」
「いやはや相変わらずの腕前で─」
「圧巻でございました!」
私が総帥の孫娘だからなのか、私が薙切えりなたがらなのか…ヘコヘコと媚を売る教師達。
正直どうでもいい。
緋沙子「えりな様!」
ダッと慌てて走って来る緋沙子。
緋沙子「えりな様!あの…あの男が…!」
えりな「何です騒々しい」
緋沙子「シャペル講師の授業を最高評価で通過したそうです!あの男…」
一体何の事かしら?
緋沙子「幸平創真が─」
…おのれ…幸平…
私は怒りで燃え上がる。頭のてっぺんまで血がググッと上るのが自分でも分かった。
緋沙子「ひっ!?」
えりな「私の前でその名を…口にしないでくれる…?」
緋沙子「も、申し訳ありません!」
腹が立ち、歯軋りをする。
私の聖域に闖入した唯一の汚点。捨て置くことは出来ない。
今に排除してみせる!必ず!
――――――――
一色慧side
創真「あーあ…薙切にも勝負ふっかけたかったのに」
恵「か、勝てっこないよそんなの~」
今、僕は創真くんと田所ちゃんが並んで帰るのを上から見ている。
磨くと忽ち輝きを放ち始めるダイヤモンドの鉱石のように、
一色「ふふ…今後が楽しみだ」
才能ありだと思うんだよねぇ。あの子。きっといい料理人になるよ…
一色「なんせ創真くんは僕と引き分けたんだからね」
一色「第七席のこの僕と!きっとよい戦績を」
「よく言ういいますね…あの対決」
「ちっとも本気出してなかったくせに」
「『必殺料理』も出さないで…あの時の品、先輩にとっては無難にも程がある料理じゃないですか」
……
一色「何の事かな。僕は全力で調理に取り組んだだけだが?」
「…ふ~ん……まあ、そういうことにしておきますよ。」
ちゃんは奥へと戻った。
君の料理を食べたとき、予感がしたんだ。
あの編入生〈ルーキー〉を引き金にして、
この学園に、食戟の華
咲き乱れる予感が──