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【アカセカ】君とつながる物語※R-18

第1章 【雑賀孫市】雑賀の郷の夏祭り



夏祭りの数日前。



里の中央にある広場にはやぐらが建てられ、その周りは屋台の準備がされていた。


子どもたちは今から楽しみなのか、走り回りながら祭りの話をしている。

千草が祭りの準備を手伝っていると子どもたちが集まってきた。

「ねぇねぇ巫女様!今年のお祭りは何が出るの?」

「当日までの秘密だよ?」

「私、風車欲しい!!」
「俺は金魚すくい!!」

「うん!きっとあるよ!楽しみにしててね!」
「わーい!!」

走り去っていく子どもたちの背中を見守りながら微笑んでいると、後ろから声を掛けられる。


「千草」

(あ……孫市さん)

声だけで相手が分かり、千草は笑顔で振り返る。


孫市さんの表情は少し曇っている。

(あれ、どうしたのかな…)

「どうかしましたか?孫市さん…」

「悪いな……実は」

孫市は申し訳なさそうに頭をかく。


「夏祭りの日、諸用で出掛けなくちゃならなくなっちまった」

「えっ、そうなんですか?」

否応なしにこみ上げる寂しさで、千草は胸の奥に僅かな痛みを覚える。

「祭りを案内してやりたかったんだがなぁ……すまない」

「仕方ないですよ、お仕事なんですから……私は大丈夫です…!」

千草は笑顔を作って答える。

「なるべく早く戻れるようにするからな」
孫市はふっと笑いを落とし、#NANE1#の髪を一房取って耳にかけた。

「……あ…」

(孫市さんって……たまに……なんていうか…)

近い……。


頬を染める千草にはお構いなしに、孫市は柔らかく目を細める。


「……あーー、コホン」

すると、孫市の背後から咳払いが聞こえた。

「……っ!伊達の坊っちゃん」
「あー…邪魔して悪いが、ちょっといいか?」

後ろから現れたのは孫市の雇い主・伊達政宗だった。
政宗は気まずそうに頬を掻きながら佇んでいた。

「あっ、ご、ごめんなさいお仕事の邪魔を…。じゃあ孫市さん、私はこれで」

「ん?あぁ、気をつけてな」

千草は政宗にも会釈をしてそそくさとその場を去った。




「へぇ……巫女様を『狙ってる』って噂は本当だったか」

政宗が目を細めて面白がりながら呟く。

「何のことだよ」

「いや……中年頭領の雑賀孫市様に女がねぇ……」

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