第3章 恐怖心
試合は終わった。
中学最後の試合は2-0
表彰式も終わり
わたしはベストセッター賞をもらったけれど
だれもいない外のゴミ箱の前で
「かれんちゃん」
聞き慣れた声に呼ばれた
みせたくない、、、
こんな姿
情けない
「かれんちゃんお疲れ様。かっこよかったよ。」
どこが?
情けないだけじゃない
こんな
「ひっく、、、ふぇっ、、」
彼に背を向けたまま溢れ出す涙
負けた試合
最後はチーム全体が諦めてた
「かれんちゃん泣いてるの?」
「わたしっ、、」
大丈夫だよと
わたしのテーピングだらけの手を握る彼
「かれんちゃん頑張ったじゃん。3年間ずっと。」
俺はずっとみてたよという彼に
「みてたならわかるでしょ?ブロックに何度も捕まって怖くなってチーム全体が諦めて負けた情けない試合だった。こわいっ、、、ふぇっ、、ぅっ、、バレーが、、、ボールが、、壁が。こんなわたしにベストセッター賞なんてもったいない。」
その賞状とトロフィーをおとす
自分が許せなくて、、、
情けなくて
バレーもボールもブロックも全てが怖くて
「じゃあさ、かれんちゃんが自分を許せるようになってまたバレーがしたいって思ったら取りにきて。それまでこれ俺が預かっておくから」
とトロフィーと賞状を拾う及川
「わたしっ、、、」
「俺の試合みててよ。勝つから」
と言って去って行く