第19章 県大会一日目・不安
いよいよ今日は県大会当日だ。私にとっては何もかもが初めてだから、遅刻しないように早めに会場に着いてみんなを待っていた。待っていると、次々に江先輩、天方先生、笹部コーチがやって来た。
「おはよう、ヒカリちゃん。早いね、気合い十分だね!」
「は、はいっ!もちろんですっ!」
5月からの短い期間だけれど、ずっと遙先輩達の頑張りを間近で見てきた。その努力がどうかどうか実って欲しい。私が気合いを入れたところで、どうにかなることではないけど、それでもどうしたって力が入ってしまう。
「ふふ・・・大丈夫だよ。みんな絶対大丈夫だから」
そう言って江先輩が笑ってくれる。その笑顔に少しだけ安心する。そうだ、みんなの頑張りを知ってるからこそ、それを信じて今日は精一杯応援すればいいんだ。
「はい!」
「あ、来たみたい。皆さーん!こっちです!」
江先輩の言葉に目をやると、遙先輩達が四人揃ってこちらに向かってくるところだった。
「皆さん、おはようございます!」
挨拶をして、先輩達の顔を見渡してみると、みんないい意味で普段と変わらない。うん・・・本当に大丈夫そうな気がしてきた。
「「「「「おはようございまーーす!!!!」」」」」
急に大勢の声が聞こえて、みんなでそちらに目をやると、そこには鮫柄学園の人達が来ていた。OBっぽい人が来て、激励をしているようだった。
凛さんに似鳥さんに百太郎くんに・・・・・・そしてもちろん宗介さんもそこにいた。まだこちらには気付いていないみたいだった。
・・・視線を外すことができない。宗介さんの姿、見るだけでまだつらいのに、どうしても視線を外せない。ずっとずっとその姿を追っていたくなってしまう。
たくさん人が集まっていてもすぐわかる背が高いところとか、少し眠そうにして何を考えてるのかよくわからないとことか・・・好き、まだこんなにも好き。
「ヒカリ、平気か?」
気付いたら遙先輩が側に来て心配そうに私を見下ろしていた。
「は、はい!」
・・・いけない、今は自分達のことに集中しなきゃ。