第11章 大好きがとまらない
「・・・・・・」
私は今、自分の部屋のベッドの上で携帯とにらめっこをしている。
電話をしていいものか、やめたほうがいいのか・・・宗介さんの番号をじーっと見たまま、かれこれ30分以上は迷っている。
・・・一昨日は色々なことがあった。せっかく江先輩達が任せてくれたデータを学校の机の中に忘れて、鮫柄に行ってしまった。それもこれも宗介さんのことを考えすぎて、気持ちがそちらに傾いてしまっていたのが原因だと思う。
真琴先輩達は許してくれたし、あとから江先輩にデータを持ってきてもらうようにお願いもした。でも、自分が情けなくて嫌で、どうしようもなくて、プールから逃げ出して、人のいない更衣室でずっと泣いていた。
そしたら宗介さんが現れた。こんな私見られたくなかったのに、宗介さんは私が泣いている間ずっと、優しく頭を撫でてくれていた。宗介さんの大きな手が触れているだけでなんだかすごく安心して、まるで小さい子みたいに思い切り泣いてしまったのを覚えている。
そしてそれからも私の話を聞いてくれて、私のことを励ましてくれた。おかげで私は練習に戻ることができた。先輩達に、データを忘れてしまったことも、練習から逃げ出してしまったこともきちんと謝ることができた。みんな、私を怒るよりも心配してくれていて、また泣きそうになってしまったけど、ぐっと堪えてそれからは笑顔で頑張った。
・・・笑ってる方がいいって宗介さんが言ってくれたから。
・・・そう、それで話は最初に戻る。宗介さんがあの時貸してくれたタオルを返さないといけない。そして、改めてまたお礼を言いたい。
でももうしばらく鮫柄での練習はないから、私一人だけで宗介さんに会いに行かないといけない。