第1章 最悪の出会い
ガラス張りの天井から5月の日射しが降り注いで、水面がキラキラと輝いている。
「すごい・・・!江先輩達の言ってたとおり・・・!」
鮫柄学園の屋内プールを目の前にして、思わずそう呟いてしまった。
岩鳶高校のプールだって、先輩達が一生懸命修理して掃除してくれた、とても素敵なプールだ。私はその時はいなかったけど、先輩達の気持ちがたくさん詰まっているのがわかるから大好きだ。
でもやっぱり規模が違う。この他にもトレーニングルームなんてのもあると言うから驚きだ。
まだ水泳部マネージャーになったばかりで、わからないことだらけだけど、今日はたくさん勉強させてもらおう。そう気合いを入れると、私はくるりと方向転換して、屋内プールを後にしようとした。
早く制服からジャージに着替えなくては。どうしても先輩達の言う『すっごい立派なプール』というのが早く見たくて、着替えも後回しにして、先に見にきてしまったのだ。
「みんなもう着替えて出てきちゃうかも。急がないと・・・!!きゃっ!!!」
少し小走りになったのがいけなかったんだと思う。向こうから人が来た、と気付いた時にはもう、私はその人の身体に思い切りぶつかってしまい、反動で尻もちをついてしまっていた。