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大きな命の物語

第4章 選別試験


相手の子も、逃げたことにびっくりしたようだったが、大したことないと思ったのか、ゆっくりとした足取りで反対側にいた興に再び近づいた。


興はというと、おもっくそ怯えた顔をして、また逃げた…。


相手の子はもちろん、観客にも怒りが募る。


なにやってんだ…。


相手の子は、今度は逃がすまいと、興目掛けて全力疾走する。

逃げる興。追い掛ける相手の子。


鬼ごっこ状態でしばらく走って、相手の子に少々疲れが見えて来た時、突然興が立ち止まる。

そして、自分目掛けて走ってくる相手を見ると、地面を強く蹴って飛んだ。


一瞬にして相手の懐に飛び込んだ興は、その勢いのまま、腹に拳を突き出す。

相手が唸り声を上げる前に、背後に回り、右足で蹴りを繰り出す。

そのまま相手の子は壁に激突し、ぴくりとも動かなくなった。



…この間、僅か二秒。
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